―今回は試験的に、対談形式で進めてみようと思います。どうですかね、この形式。
「読む側としては淡々と1つの視点のものを読むよりも、頭の動きが活発になる気がしてます。僕の中の初見はたぶん、レジーさんのブログかな。それにも元ネタがあるみたいだけど。あとは、バズネタのコラムサイトなんかだとこの形式はよくあるよね」
―さて、今回は映画を観てきたということで。『コードギアス』の新編とのことですが。
「そう。去年の後半くらいからかな。アイドルヲタク的に行き詰ってきた感もあって、いろいろなコンテンツを少しずつ見るようにしてるんですよ。もともとDAZNに入ってはサッカーもそうだし、アニメもそうで。その中で友人から紹介されたのが『コードギアス』でした。年末年始の休み期間に一気に観ましたね」
―いときんさんはこういう戦闘モノは割とまっすぐな主人公のほうが好きなタイプだったと思いますけど、このルルーシュは違いますよね。
「そうなんですよね。悪逆ものだし、大義をうそぶいて実は自分の復讐と妹のことばかり考えている。運動能力も高くない。ただし、だからこそ人間臭さが出せる」
―世界観もそれを引き出す設定になっています。
「大英帝国的な国家が生き残って貴族階級の社会が続いているのも、前述のルルーシュの人間臭さを引き出す背景になっています。薦めてくれた友人は"歴史のif"モノが好きで、そちらの意味合いでも興味を持っていたのだけど、テレビシリーズをひと通り観てみて、情感を引き出す背景として意味の強さを感じたなあ」
―ここからはもう少しネタバレも込みで、新編の『復活のルルーシュ』について話していきましょうか。
「上記の人間臭さの部分との葛藤や向き合いを1期よりもむき出しにしながら物語をクライマックスまで進めていったんですが、やはりどうも最後のシーンは腑に落ちにくいところがあるんですよ。その気持ちの行き先をこの新編で見つけられた気がします」
―エゴから出世した悪逆の帝王は、やはり最後には正義に負けてもらわないと話の落としどころがつかなかったから、テレビシリーズでの展開には"納得"はできますけどね。
「だけど、本人あるいは本人に感情移入した側としては、最終的にバッドエンドになるにしても、その気持ちの行き先というか墓場というか、それを用意してもらえた気はしないんですよね。それがおそらく『コードギアス』シリーズを展開する上での支障になると、監督は意識していたみたいです」
―このインタビューを読むと、やはり「ルルーシュの区切り」を設けようとしていたように思いますね。
「そうそう。言っちゃうと、この新編の最後には結局ルルーシュはまた旅立って平和になった世界からはいなくなってしまうわけだけど、そのいなくなるための告別式というかそのための儀式ではありましたよね、今回は」
―その儀式として観れるので、ルルーシュが復活してからの戦闘シーンも「ああ、いつも通りのルルーシュだ」ってうれしく楽しく思えるわけですよね。
「ただ、今回の相手を最後に詰めるまでのところを、静止画で語らせちゃったのはちょっと短絡さはあったかな。ただ、ある程度やりきったルルーシュのギアスとの戦いをさらに飛躍させるためにぶっ飛んだギアスを設定しちゃったから仕方がなかった面もあるだろうね」
―そういったテレビシリーズのファンに寄り添った流れとは逆に、裏切られたような側面はあります?
「いやー、やっぱりシャーリーだよね…。ヒロインはシャーリーじゃなかったのか!!」
―えー。C.C.とのラストのシーンはよかったじゃないですか。
「そうなんですよ。コードを抱えたルルーシュが再び旅立つにあたり、C.C.が寄り添うことに意味があるし、その2人が向き合う上で非常に重要なカットがあって、そこでのC.C.の表情がとってもいいんですよ! ヒロインとしてのC.C.がとても愛おしくなる。だけど、だけどさぁ……」
―やはりヒロインは幼馴染派だと。
―まあ、C.C.とのラストが、「コードギアス」の次への展開もできそうな終わり方になっているのはいいじゃないですか。
「まあ、そのあたりは前作より気持ちよい終わり方ではありますね。スピンオフの『亡国のアキト』も、今回の新編につながる劇場再構成盤の3部作もまだ観れていないので、休みにでも観てみたいと思います」