前日の鳥栖戦を観て駅前で軽く呑んだあと、宿は久留米へ。鳥栖からJR久留米への電車が遅れて、西鉄久留米駅前行きの終バスに乗れずタクシーになったのが痛い出費でした。
宿はイルファーロ久留米という、西鉄久留米駅前の1階がカフェバーになっている店の安宿。宿の受付もバーの中なので一瞬迷いました。
綺麗で広めのベッドにデスクがついて、壁でしっかり区切られていて、扉がアコーディオンカーテンなので完全断音ではないんですが、宿泊が3,000円代なのでこれはだいぶコスパがいい。
福岡市内から遠いといえば遠い。けれど天神から1本なので、「都内が混んでいるときに川崎か横浜に泊まる」くらいのノリであればありかなと。この週は山笠の週だったので消去法的に久留米にしたのだけれど、今後もありかも。
チェックアウトギリギリの11時に宿を出て、駅から少し歩いてラーメン屋へ。せっかくなので、つまみも美味そうな店を探して入ってみた。
以前、天神の大砲ラーメンは食べたことがあったのだけれど、久留米で久留米ラーメンを食べるのは初めて。店に入った瞬間から豚骨の匂いがすごくて、つまみで頼んだホルモンも臭みが抜けてない。そしてそれがいい。瓶ビールが進む。
そしてラーメンとご対面。香りはこの時点でもはや慣れているので、滑らかに口の中に運べます。そして飲んでみて驚きました。臭い的にはぎとぎとなイメージでも、飲んでみるとそんなにくどくない。粘度は低い。
久留米ラーメンは、博多をはじめ九州豚骨ラーメンの源流と言われているらしいです。初期の豚骨ラーメンってこんな感じだったのかな、と勝手に思いを巡らせてみました。(久留米ラーメンもいろいろあるみたいです)
久留米から天神経由で福岡空港へ、そして羽田から味の素スタジアムまで直行。この時点で疲れに少し気づく。
しかし雨も少し落ち着いてきていたので、今日は勝って川崎の息の根を止めるぞと意気込みます。
東京は前節までと同じメンバーなのに対して、川崎はだいぶ入れ替えてきました。
まずサイドバックの左右を入れ替えて、左に車屋紳太郎、右に登里享平。中盤は故障の大島僚太に替わって守田英正ではなく左利きの下田北斗。2列目は全入れ替えで右から阿部浩之、中村憲剛、齋藤学が。前節の鳥栖戦を予習したときに、先発だった左サイドの長谷川竜也と登里のコンビはお互い内にも外にも抜けたり受けられるいい呼吸だと思っていただけに、それが替わってびっくりしました。逆に、右サイドの先発だった家長昭博は中央でフラフラしていると東京の網にひっかけやすいだろうと思っていたのと、より受けてからのドリブル突破が強い齋藤が幅を取る役目にされると厄介だなとは感じました。
鬼木監督に変わってから、守備組織はもともとしっかりしている川崎ですけど、この日はとにかくボールを失ったあとの動きが鬼のように速い、強い。最前線の小林は前から追いかけるし、プレスバックも終盤まで走る。中盤の4人もそのラインを超えられて速攻になりそうなチャンスも、多少後ろからになろうともアタックしてファウルになってもいいから止めようとする。仮にそこを抜けてパスを出されても、4人のDFが絶対に負けない。そんな強い意志を感じます。
これによって、東京は昨年から今年にかけて磨いてきた2トップの走力を活かしたカウンターを発動できません。永井やディエゴが受けるスペースへのコースは消され、仮に楔を入れても潰されてしまいます。もともとボール運びがうまいのもあってプレスは無効化されて押し込まれてショートカウンターはできず、低い位置で奪ってもロングカウンターも発動できない。この試合、永井やディエゴがDFを置いてゴールに向かってボールを受けられたシーンはほとんどなかったんじゃないでしょうか。
川崎はボールを奪われても上記の無限回収に持ち込めるので、あとはどう攻めるか。さすがだと思ったのは、東京が中を締める守備なのに、まずは必ず中央にいる小林を狙っていたこと。その後ろの中村憲剛も同じく一番狭いバイタルでの間受けを狙っています。「スペースがなくても、相手を外すのは一瞬で目が合えばいい」。そう言ったのは前監督の風間八宏さんでしたが、そのイズムがまだほんのり残っていることの証でした。
後半に決めた2点目は、まさに今日の狙いであろう部分が出ていた流れ。ボールを奪われてもすぐに回収してから、まず小林へのくさびをすぐ入れる。それを2列目が受けて、相手が近くにいようとも"間"を外してパスを出して受ける。その連続でのゴールでした。見事。もう小林への楔が決まるか決まらないかの瞬間に頭を抱えながらそれを見届けるしかありませんでした…。
東京サイドとして見ると、やはり「久保建英がいたら」と思ってしまうのもしょうがない展開でした。昨年まで定着していなかった久保が出ることで大きかったことは、「奪ったあとのワンクッション」があったこと。奪ってからいきなり2トップではなくて、久保がまず1人かわすことによって2トップが前を向けるタイミングを作れる。これは遅攻のときでもそれができました。この試合の川崎ほど徹底してボールを奪い返されると、為すすべがなかったのが実際でした。
後半の不思議な時間帯に不可解な交代をした高萩洋次郎ですが、実はここをなんとかしようとしていたんじゃないかなと。後半はFWに近い高い位置で受けようとしたり、かと思えばCBの間に下りて受けてみたりと、なんでもやろうとしすぎていたのかなと。それに長谷川監督はリスクを感じたのか、代わった大森晃太郎はサイドで幅を取る役目をしていました。先日、ヴィッセル神戸から三田啓貴を獲りましたが、中盤の選択肢の1つになればいいなと思います…。
前向きな材料としては、スタンドでは2失点目から旅の疲れも相まってがっくりきて、帰り道も失意で鈍行で帰ってきたのですが、いま改めてDAZNで観てみると、選手たちは最後まで走っているなと。この魂には見ていて救われました。
今やっているサッカーはどうしても夏にしんどくなり失速の原因になりやすいですが、久保がいなかろうといい塩梅を見つけつつ、この"魂"だけは変わらずに最後まで走り続けている姿を観ていきたいと強く思います。