あくまでも観客席から

アイドルにかじりついた記録を残したい人のブログ。

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忘れていた何かを取り戻しに行ったような広島へのSTU連続旅。

ようやく重い手を持ち上げてキーボードに置いている。

 

仕事の都合で、11月からは休みが取りやすくなって、これまではあまり足を運びにくかったSTU48の現場を増やすことにした。ヲタ仲間が推しているのもあって、STU48の現場は結成した年からちょくちょく足を運んではいるのだけれど、なかなか推しメンがはっきりせずに積極的には行かないまま4年半が経ってしまった。

 

STUができて中四国地方に行く機会ができて思うのは、僕の住んでいる東京からは、名古屋や大阪、新潟はもちろん、物理的に距離のある福岡以上に広島は遠いということだ。平日の劇場公演終了後は、名古屋や新潟は終演後に軽く一杯やれるし、大阪はダッシュすれば最終の新幹線に乗れる。この3都市はバスも安い。福岡だって最終の飛行機に乗れないことはないし、LCCの本数が多いから交通費は大阪とそんなに変わらない。最終の新幹線も20時過ぎと早く、空港も遠くてLCCも本数が少ない。なかなか半日で行くには遠いのが広島だ。

 

とはいえ、土日のイベントやコンサートだけを観に行くだけでは48グループの半分も楽しみきれないと思っているところはある。劇場で行われる定期公演こそがグループのベースだと思っているからだ。足を運ばないうちに船上劇場からも撤退して、今は広島の劇場を間借りしているけれども、それでもベースはそこにあると思う。じっくり観に行くなら、休みの取れる今しかない。と、チケプラの申込ボタンを押した。

 

2021/11/08(日) 『僕の太陽』公演 内海里音生誕祭

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直近の広島への訪問は新幹線、その前は広島空港の利用だったので今回は岩国空港経由にしてみた。空港から駅までが遠くないのはいいけれども、こちらはこちらで山陽本線で広島駅までそこそこ時間はかかるな、という印象。宮島で降りるなら悪くはなさそうだ。

 

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ホテルへチェックインを済ませて、紙屋町にあるエディオン本店の最上階へ。この日は昼が川又あん奈さんの生誕祭、夜が内海里音さんの生誕祭がある、2期生の『僕の太陽』公演だった。僕が入ったのは内海里音さんの生誕祭。近くで観るのは2019年末に船上劇場で行われたお披露目公演以来だ。

エディオン紙屋町ホールでは、申込時に席種を分けて申し込むことができる。座席も5列しかないと聞いていたので、僕は立ち見で申し込むことにした。ホーム感を持てていないヲタクにとってはちょうどいい選択肢だ。この公演では立ち見の2列目。ソーシャルディスタンス仕様の番号ごとのバミリで間隔を空けての立ち位置が指定されているため、割りと見やすい。

 

『Dreamin' girls』『RUN RUN RUN』のオープニングから『BINGO』『僕の太陽』で締めるあの懐かしさ(とはいえ実はこのセットリストを生で観たことがあるのはカバーしていた地下アイドルだったりする)を噛み締めながら、終始ぼろぼろ泣きながら同期から愛されているコメントをもらうりねたんの人柄を感じられるあったかい公演だった。これでこそ劇場公演だなあ、と。

 

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この夜は久しぶりに遭遇した栄時代に知り合った小倉在住の2期生ヲタクのお見送りがてら駅ビルekieの麗ちゃんへ。ホクホクのお好み焼きを生ビールで流し込みながらこの2年の2期生の成長や、3人も辞めることになった背景や現状について話を伺う。そりゃあ、2年も経てばアイドルとしての進化があるよなあとうなずく。

 

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新幹線を見送ったあとには、改めてその日観たパフォーマンスを反すうしながら散歩しつつドン・キホーテに寄って安めのペンライトを購入した。

 

さっきのお好み焼きの席では「しっかり客席を観察しながら、細いのに意志の強いパフォーマンスは"松井玲奈イズム"に近いものがある!」なんて話をしていた高雄さやかさんの推しカラーを明日の公演では振ってみようと思いついたのだ。これが翌日の衝撃の決定打となるとは思ってもみなかった。

 

2021/11/09(月) 『僕たちの恋の予感』公演 

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2021/11/09(月)、朝。ゆっくり起きて、広島式汁なし担々麺をはしごしてみたり、楽々園のスーパー銭湯が臨時休業だったことにショックを受けつつも、今は亡き船上劇場を思い出しながら宮島→宇品の船便に乗ってみたり。気づけば市電・バス・観光船と交通機関乗りつぶしみたいなことに。ちなみに、広島式汁なし担々麺は武蔵坊のごまが好きになった。

 

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夕方はこの日も幸運なことに立ち見席で当選したエディオンホールの公演へ。エディオンホールは営業時間の関係上なのか、平日でも17時半開演。これでは広島市内の勤務でもなかなか仕事後に行くのも難しくはなってくるだろう。前日に見かけた人も何人かいた。

 

この日は1期生+ドラフト3期生の『僕たちの恋の予感』だ。とはいえ、最近は卒業生も出てアンダー出演で出る2期生も多い。パフォーマンス難易度が高い曲もあり、2期生の公演と続けて同じ劇場で観ると、先輩たちの凄みを感じる。

 

挙げればきりがないけれど、たとえばキャプテンの今村美月さんはトークでは穏やかな人なのにパフォーマンスの練度の高さに背中でこのグループを引っ張るんだという誇りをものすごい感じる。そんな先輩たちに食らいついていく2期生の子たちを愛おしく思う気持ちもまた増えた。

 

平日の劇場公演に連続して入っていくと芽生えるこういう感覚こそ、劇場公演の楽しさだと噛み締めていける。

 

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で、出てきたらこんな乾杯を1人でしていた(笑)。

 

写真に映っているのは、先述の高雄さやかさんである。気になり始めたのが前日で、今日だって立ち見の3列目、人の影ででぼーっと推しカラーのペンライトを振っていたに過ぎないはずが、お見送りではいきなり指差し銃弾のマシンガンを両手で食らってしまったのだ。

 

2期生で唯一連続のシングル表題曲選抜で、かわいくて人気があることは知っていた。推しとしての競争率は高い。直近のトーク会も売り切れている。ただ、パフォーマンスで気になった子にこうやられてしまったらもうお手上げである。あーあ、2期生お披露目公演での記憶がほとんど残ってないのが悔やまれる!

 

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翌日はわざわざ出雲にまで出て、出雲大社へのお参りをしたあとに念願のサンライズ出雲に乗車。初めての寝台列車の感動もそこそこにSHOWROOM開いて必死にコメントをしているんだから、僕もたいしたもんである(誰目線)。

 

2021/11/18(木) 『僕たちの恋の予感』公演 

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週が明けて、2021/11/18(木)にも再び広島へ。この日は羽田空港にできた「港屋」でそばを食べてから広島空港経由で市内へ。広島空港からは乗るバスの選択肢を見極めないと、という学びを得る。

 

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バスが到着した広島駅からはドコモのシェアサイクルサービスを使って中心部へ。都内でもヘビーユーザーなこのサービス、広島でもポートが増えてきた。アプリ1つで複数の自治体で使えるのは便利だ。これに乗って宿へチェックインして、さらにまた紙屋町のエディオンホールへ。

 

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公演が終わって出てくると、ガストという非居酒屋業態にに来たにも関わらず、真っ先にビールののどごしに任せて何かを呑み込もうとしていた。

 

というのも、この日は門脇実優菜さんの最終活動日。しかし、別に卒業公演の冠はついていない。だからこそ僕が公演に当選できた――いや、当選できてしまったと言える。

 

彼女のSTUとしてのパフォーマンスを紙屋町の公演で観たかった。立ち見でお邪魔させていただけないかな……と言う気持ちでの応募だった。ガストで顔を向かい合わせていたヲタクも、結成当初から1期生を観てきた人で、僕に近い応募動機だったそうだ。いや、僕なんかよりもよっぽど見届ける資格のグレードは高い。トレードに出すことも何度か考えた。ただ、それでも彼女のいる『僕たちの恋の予感』を観たかった。この目に焼き付けようという覚悟だけは持って立ち見席のカーペットに足を構えた。

 

惜しんでいるのはヲタク側だけではないのは当たり前だ。僕のいた下手側では、オープニングの明るい『チューしようぜ!』のペアダンスでもうさっそく涙が流れていく。1番では石田みなみさんと、2番では岩田陽菜さんと。

 

頭からそんな感じで、トークでもネタはずっとみゆみゆの思い出。なのにセレモニーはない。泣いてはいないけど今村美月さんがやたらテンション高く振ったパフォーマンスだと思ったら、今日は泣かないと決めていたそうで、最後にはとうとう決壊。なのにセレモニーはない。

 

門脇さんは、今48グループのヲタクならSTUに詳しくなくても「ああ、あのダンスのすごいアニメ声ツインテールの子!」という認識が共通しているんじゃないかと思う。インパクトのあるとても魅力的なダンスをしているし、実際に瀬戸内にヲタクを引っ張ってきていると思う。個人的な話だけでも、別のグループで知り合ったヲタクとみゆみゆ推しとして再会したケースは1つや2つじゃない。

 

ユニットに分かれての活動が活発だった頃に観た彼女のいる『蜂の巣ダンス』は本家を超えてたんじゃないかと思うくらいだ。AKB48が魅せている最新曲『根も葉もRumor』もコンサートの合間なのにこの通り。

 

 

改めてこの日のパフォーマンスを観ても、『愛しきライバル』『従順なSlave』『手遅れcaution』のゾーンでは、相変わらず強い肩から腰にかけての筋力によるブレない体軸、そしてそこからの迫力ある手足の動き。マスクの下で唸ってしまった。

 

思わず泣いてしまった前半曲とはまた違い、変わらない表情の中で上がっていっているだろう体温を感じながら、後ろを向くと汗びっしょりの背中。コロコロ変わる表情とはまた別のパフォーマンス。

 

これが観れて心からよかった。そうして願いが叶ったあとに観る『この涙を君に捧ぐ』はずるい。(そのときに僕と反対の角度で見ていた前述のヲタクのブログは、よっぽど瀬戸内成分の強いレポートなのでぜひ読んでほしい)

 

こんな素敵なものを観せてもらって、「どうして卒業コンサートが開けないのだろう」「このパフォーマンスを僕なんかの視野にとどまらせてはもったいない」、そんな気持ちで胸がいっぱいになった。

 

彼女は、卒業ではなくて"活動辞退"であって、冠のついた最終公演はない。

 

なぜ活動辞退なのだろう……なんてしらを切るつもりもない。公式に発表ができない理由がいろいろあるのだろう。ただ、その理由になる事象が実際にあったかどうかは観ている僕らにとっては本質的には関係はない。内側で問題を抱えていたとしても、これまで僕らを楽しませてくれたメンバーの最後を、楽しく美しく観せてくれるのがエンターテイメントでしょうよ。それができない最終活動日になってしまったことがとても悲しい。

 

「卒業でいいんじゃないかなあ」

 

とふたりで紙屋町の空に向かってぼやいてから、岡山へ車で帰るヲタクを見送った。

 

「また、瀬戸内は来ますんで!」

 

広島は、交通費も時間もかかっちゃうのになあ。それでも観に行きたい理由がまた増えた。僕にとって、6都市目のホームタウンだ。