いつのまにか、しゃべってるのすごい。 - 『いつのまにか、ここにいる Documentary of 乃木坂46』
この週末から新海誠監督の新作『天気の子』が公開されたので、それをAKB劇場に近い上ののTOHOシネマズで観ようかと上映時間を調べていたら、乃木坂の新作ドキュメンタリー映画が上映が終わりそうだと気づき、急遽予定変更です。
シアターに入ると、若い20代前半くらいの男子、それと同じ年くらいの女子、カップルもいました。大きくないシアターではありましたが、そんな客層でいっぱいで、残り2割程度になる僕らおじさんはちょっとだけ肩身が狭い。乃木坂の現場によく行っていた2014年あたりはまだそこまで当時のAKBと客層が違うってことはありませんでしたが、最近はたまに乃木坂の現場に行くときにビクッとしますね(笑)。
感想を先に書くと、けっこう面白く観ることができました。
<<<ここから先はネタバレも込みなのでお気をつけて>>>
僕も映画に詳しいわけではないですけれど、AKBのドキュメンタリー映画は観てきているので、ヲタクが観るとどういう感想が出るかはわかってきます。
「この現場がない」
「このメンバーがピックアップされていない」
というのがどうしても出てきます。
その意味では、4年前の前作から、またはこの1年のできごとのまとめにはしない構成にしていたのは潔いなと思いました。冒頭が監督の岩下力さんの葛藤から始まり、常にキャプションも監督の視点であるのも割り切りです。天の視点ではなくて、あくまで監督が乃木坂のメンバーのそばにいてみて感じたこと、という点は印象は悪くなかったです。
なので、乃木坂の現場からは少し足を離している自分としては、網羅的にしようとしていなかった(実際には、1年のメインエポックはなぞっていはいたんですけどね、導入部分の構成によってその要素は薄まっているように感じます)ことでのストレスはなかったです。たぶん、思い入れがもっとすごかったら、出番以外の面でも、「もっと意味のある映画かと思っていた!」となってたんじゃないかと思います。その点でいまこの映画をファンが観る"意味"というのは薄いかもしれませんね。
(ひと通りこの記事を書いてからレビューを読んでみると、感想が上記の通りで興味深かったですね…
いつのまにか、ここにいる Documentary of 乃木坂46のレビュー・感想・評価 - 映画.com
ただ、そうした中で、焦点は絞ってくれたのはよかったとは思います。いまある程度の高みに来ている乃木坂を総体的に映しながら意味のあるドキュメンタリー映画にするのはとても難しい。監督も冒頭の葛藤キャプションで語っていましたしね(ずるい)。
西野七瀬さんの卒業を起点に、慕ってくれている後輩の与田祐希さん、同期の高山一実さん、キャプテンの桜井玲香さんらの視点、そして監督が興味を持った"複雑系"の齋藤飛鳥さんへのフォーカス。ここに絞ったことで、ピックアップされたメンバーとの信頼関係を監督が築いていったのがよく伝わってきたので、言葉や表情を引き出した岩下監督、すごいなと感じさせられてしまいました。
メンバーに映画の撮れ高をわざわざ心配してもらいながら、パッキリした言葉ではなく、その場で頭を巡らせて迷いながらもその迷ったまま吐き出した言葉を映像に収めたのは、聞き手としての信頼の証でしょう。
「アイドルをよく知らなかった監督」の視点として、3年前にNMB48のドキュメンタリー映画がありましたが、あれはどちらかというと、握手会であったり、大阪の街を背景にさせたりであったり、現在の大人数アイドルグループのプラットフォームを"説明"しようとしていました。
今回は、あくまで人……というとNMBや他のドキュメンタリーが人にフォーカスしていないように思われそうです。結局どれも人がやることなので、「人がやった事実」を追うのではなくて、「その人のその時の気持ち、考え」に深く沈もうとしていたのが今回の乃木坂の映画なのだと思います。
同じできごとのフォーカスでも、レコード大賞を獲った『シンクロニシティ』のダンス指導のシーン、円陣のシーンで、振り付けのSeishiroさんが技術面以上に気持ち面にフォーカスしたコーチングをしていたことをピックアップしていたのが印象的でした。
その受賞したシーンの放送↓
そうした面から、「乃木坂ってどんなグループ?」というのが浮き上がる……いや、浮き彫りにはならないんですが、なんとなくわかるような気がします。「気がします」くらいが、僕にとっては乃木坂っぽいようにも思いますね。
というような感想なので、予習せずに観に行ったあとに、映画の公式サイトをのぞきにいったら、「自分探しの旅に出る」と出ていて、なんだか感想とのギャップがあってびっくりしました。
それぞれに卒業についてや将来のことを聞いているシーンが多いので、それぞれのメンバーなりに自分自身について悩んでいたり考えているインタビューは多いのですが、それを「自分探し」的なフレーズに落とし込まれるのはなんだかな、という気持ちです。「自分探し」というともう少しフラフラとしたモラトリアム的なイメージがありますが、あくまでも乃木坂のステージに向き合っている姿に寄り添っていたら、漏れてきた言葉が映っているのだと思います。
そんなギャップに面食らいながら、パンフレットを読んでおりました。たとえばアンダーのアピールページは選抜メンバーのシーンを観に来た人の興味を広げる上で、大事なんですけど、それならば映画の中で触れてほしかったです。改めて、アイドルグループのドキュメンタリー映画の難しさってこんなところにもあるんだなと感じました…。
最後に。
与田祐希さん、もとからルックスが気になってたんですが、内面も少し知って、またさらに気になってきましたね…! どう追って行こうかしら。。
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