あくまでも観客席から

サッカーとアイドルにかじりついた記録を残したい人のブログ。

高校演劇が観に行きたくなってしまった

いったん、1年ほど前から現場記録をnoteに寄せてみたのだけど、日に日にnote的な文体と自分とのマッチングが気になってしまい、いったんはてなブログに戻ってみることにする。1年間の記事も気が向いたらこちらでリライトするかも。

 

2021.01.11(月・祝) 13:00公演
『アルプススタンドのはしの方 高校演劇ver.』[関西チーム]
@ 浅草九劇
演出:奥村徹也(劇団献身)
出演:左京ふうか、平井亜門、藤谷理子、中井友望

alpsnohashi.com

 

ちょうど1年前に、知人に誘われて高校の部室や長野の茅野まで高校演劇を観に行ってから1年。興行としてやっているわけではないので、仮に大会が行われたとしても関係外者が観に行けるわけもなく、その熱もすっかり忘れかけていた1月のある日。

 

「観に行ってきた。緊急事態宣言突入で、払い戻し分含めて当日券がある程度出てるっぽい。いときんさんもぜひ」

 

とDMを送ってきたのは同じ知人からであった。

 

そういえば演劇の現場はコロナ禍以降行けてないしと思い、朝から浅草に行き当日券チャレンジ。夜の千秋楽は避けたとはいえ、最終日だったので少し不安だったが、すんなり取れた。

 

並んで冷えたあとは近くのラーメン屋でぬくぬく。東京でこの価格は日高屋幸楽苑以外で珍しい。

 

開演前に会場に戻ると、最終的には結局9割以上埋まっていたように思う。業務でも感じているところだが、年末以降にエンタメ現場のチケットを購入する人というのは、それが「不要不急」な人ではないのだ。

 

肝心の演劇の中身の話に戻る。

 

『アルプススタンドのはしの方』は、2016-17シーズン(高校演劇の大会は年度をまたぐのでヨーロッパサッカーっぽく書いてみる)の全国大会で最優秀賞を取って、2019年には商業舞台化、2020年には映画が公開されて話題になった作品だ(このあたりの流れがWikipediaに詳しいのでびっくりしている)

 

結論から言うと、19年の舞台も、去年の映画も観ずに今回の関西チームの公演が観られてよかったと感じた。関西チームの公演が面白かったので、すぐに関東チームの公演も、dTVで配信されている映画も観たけれど、この脚本は関西弁でやってこそだと思ったからだ。

 

高校野球甲子園球場が実際の高校生の生活に占める大きさは、物理的・心理的な距離の近さがある大阪や兵庫の設定のほうがいいと思うし、何より野球の話なのにプレーヤーが出てこないこの会話劇のテンポは、ボケやツッコミのオートマティズムが浸透している関西弁のほうが説得力が出る。

 

筋書きを簡略化してしまうと、「甲子園のマウンドに立つ人ほどの才能がなくても、コンプレックスが満ち満ちていても、熱くなれるんだよ」という高校演劇っぽい(実際に去年初めて大会を観に行ったときにはこういう教育的な題材が多かったことにびっくりした)話の流れだし、野球部の現役選手が出てこないのは『桐島、部活やめるってよ』を対比できるのだけど、僕がこの演劇で好きなのはそれ以上に、関西弁でこのやりとりができることのローカル性だ。

 

高校演劇が商業演劇あるいは大学生がやる演劇と異なるのは、より大きなステージに出られることを目標にしながらの「いまの、この高校生にしかできない演劇」だと思う。この意味で、兵庫県にある高校の生徒が"アルプススタンドのはしの方"で繰り広げる会話劇をやるということに面白さがある。本人たちが現役の高校生であるということと同じように、「全国各地域で生活する高校生」ということにも意味を帯びるのだ。

 

だからこそ、非高校生がやったとしても、この脚本は関西弁でやる意味があるし、兵庫県の高校の設定のままでやることにこそ意味がある。埼玉県にある高校の設定でやると、脚本のメッセージは変わらなくとも、受け取る肌の温度が変わってしまう。なので、今回は"オリメン"の左京ふうかさんをキャスティングしたことの尊さを感じた。

 

「ああ、高校演劇が観たいなあ…」

 

1年前についたこの火を速攻でコロナ禍に消されてしまい、すっかり忘れてしまったこの思いが浮上してきてしまった。

 

 

2021年の現場記録
・サッカー 1
・舞台 1